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調整完了、緩やかな再上昇フェーズへ|フランス不動産成長率【2026年最新版】
為替レート:1EUR=約165円換算
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読み物パート
パリ市場の「リセット」は2025年春に完了した
2020年のコロナ後高値から2022〜2025年初頭にかけて、パリ市内のアパルトマン価格は平均で10〜13%調整された。この下落は、単なる「バブル崩壊」ではなく、超低金利時代に形成された過熱評価を、正常化されたユーロ金利環境(ECB政策金利2.75%、住宅ローン金利3%台)で再評価した結果の「健全な調整」と位置付けられる。
2025年春以降、市場はボトムアウトし、緩やかな再上昇フェーズに入った。2026年4月時点で過去12か月のパリ市内価格変動は+1.8%、地域やエリアによっては+3〜5%まで回復している区もある。注目すべきは、この回復が「信用膨張による急騰」ではなく、①実需の回復(売買件数の増加)、②外国人投資家の再参入、③住宅供給不足の継続、という複数のファンダメンタルズに支えられていることだ。
区ごとに全く異なる動き:「モザイクの勝負」
パリ全体の平均を見るだけでは、このマーケットの本質を見誤る。区ごとに、さらには同じ区の中でも通り一本で、まったく違う動きを見せるのが2026年のパリ市場の特徴だ。
具体的には、6区(サン=ジェルマン)や7区(アンヴァリッド周辺)といった最高級エリアは、2024年の調整が軽微だった反面、2026年の上昇も穏やか(0〜+2%)。一方、10区、11区、18区、19区、20区といった北東部エリアは、2024年までの下落幅が大きかったため、2025〜2026年のリバウンドが顕著(+3〜+5%)。特に11区、10区のリノベーション済み物件は、若年層・テック人材の流入で「買い負ける」局面も出始めている。
SCPIという「もう一つの現物投資」
パリの現物購入は1物件5,000万円〜数億円の投資単位で、多くの日本人投資家には敷居が高い。この層のために2025年時点でも魅力的な選択肢が、SCPI(Société Civile de Placement Immobilier、不動産投資信託)だ。フランスでは1960年代から発展した仕組みで、市場規模は約1,000億ユーロ(約16.5兆円)。
2025年のSCPI平均配当率(TDVM、Taux de Distribution)は4.82%。個別には4.5〜5.5%のレンジが中心で、中には10%を超えるSCPIも存在する。ただし注意点として、2024年には約54ファンドが一時的に基準価格(単位価格)を下方修正し、第1四半期の加重平均でマイナス3.5%、オフィス系SCPIでは−4.9%の評価減があった。市場は2025年後半に再安定化し、64%のSCPIが分配水準を維持または増加させた。
2026年のSCPI展望は「本体価格(単位価格)の下落は概ね終了し、配当利回り4〜5%台は維持される」見通し。現物パリ不動産の「前哨戦」として少額(5,000EURから)で始められる。
2026〜2028年のフォーキャスト:慎重ながらポジティブ
複数のシンクタンク・不動産シンクタンクの予測を統合すると、2026年のパリ市内価格は「弱気シナリオで横ばい、強気シナリオで+4%」。中央値では+2〜3%。2027年は+2〜3%、2028年以降は金利環境次第でさらに回復。完全な価格回復(2020年ピーク水準への復帰)には2028〜2029年頃までかかるとの見方が多い。
トップパフォーマー(10区、11区、18区、19区など再開発エリアの優良物件)は、この上昇率の2倍近い+3〜+5%を記録する可能性が高い。逆にエネルギー性能(DPE)の悪い物件(F、G等級)は、2028年以降の賃貸規制強化で価値下落圧力が強まる(既に市場では「DPEペナルティ」が織り込まれつつある)。
過去10年の価格推移:長期投資家の視点
パリ市内平均価格(平米)の推移:2016年約8,800EUR、2019年約10,100EUR、2020年ピーク約10,700EUR、2023年約10,200EUR、2025年初頭約10,200EUR、2026年4月約10,450EUR。この10年間の年率成長率は約1.7%(名目)、インフレ調整後は実質ほぼ横ばい。
一見成長が鈍い印象だが、「ユーロ建て×長期保有×インフレ耐性」という資産特性を考えれば、日本円建て資産との分散効果は大きい。特に円安トレンドが続いた2022〜2024年にパリ不動産を購入した日本人投資家は、現地価格の微減にもかかわらず、円建て評価ではプラス30〜40%のリターンを享受している。
データパート
パリ市内価格推移(平米・平均)
| 年 | 平均価格(EUR) | 円換算 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 2016 | 8,800 | 約145万円 | — |
| 2017 | 9,200 | 約152万円 | +4.5% |
| 2018 | 9,700 | 約160万円 | +5.4% |
| 2019 | 10,100 | 約167万円 | +4.1% |
| 2020 | 10,700 | 約177万円 | +5.9%(ピーク) |
| 2021 | 10,580 | 約175万円 | -1.1% |
| 2022 | 10,420 | 約172万円 | -1.5% |
| 2023 | 10,200 | 約168万円 | -2.1% |
| 2024 | 10,100 | 約167万円 | -1.0% |
| 2025 | 10,270 | 約169万円 | +1.7% |
| 2026 | 10,450 | 約172万円 | +1.8% |
2026年区別・価格成長率
| 区 | 平米単価(EUR) | 過去12か月変動 | 投資魅力度 |
|---|---|---|---|
| 1区 | 13,500 | +1.0% | ★★★(流動性高) |
| 2区 | 11,800 | +2.1% | ★★★★ |
| 3区 | 12,700 | +1.8% | ★★★★ |
| 4区 | 13,200 | +1.5% | ★★★ |
| 5区 | 12,900 | +0.9% | ★★★ |
| 6区 | 15,800 | +0.5% | ★★ |
| 7区 | 13,700 | +0.3% | ★★ |
| 8区 | 12,800 | +1.2% | ★★★ |
| 9区 | 11,400 | +2.3% | ★★★★ |
| 10区 | 9,600 | +3.5% | ★★★★★ |
| 11区 | 10,200 | +3.8% | ★★★★★ |
| 12区 | 9,800 | +2.8% | ★★★★ |
| 13区 | 9,100 | +3.0% | ★★★★ |
| 14区 | 10,400 | +2.5% | ★★★★ |
| 15区 | 10,700 | +2.0% | ★★★★ |
| 16区 | 11,500 | +0.8% | ★★★ |
| 17区 | 10,800 | +2.0% | ★★★ |
| 18区 | 9,300 | +4.0% | ★★★★★ |
| 19区 | 7,889 | +4.5% | ★★★★★ |
| 20区 | 8,400 | +4.2% | ★★★★★ |
2026年以降価格予測(複数シナリオ)
| 年 | 弱気シナリオ | 中央値 | 強気シナリオ |
|---|---|---|---|
| 2026 | 0% | +2% | +4% |
| 2027 | +1% | +2.5% | +4% |
| 2028 | +1.5% | +3% | +4.5% |
| 2029 | +2% | +3% | +4% |
| 2030 | +2% | +2.5% | +3.5% |
SCPIパフォーマンス(2025年)
| 指標 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 平均配当利回り(TDVM) | 4.82% | ASPIM公式データ |
| 中央値配当利回り | 4.72% | — |
| レンジ | 4.5〜5.5% | 主流ゾーン |
| 最高利回りSCPI | 10%超 | 一部エリア特化型 |
| 総市場規模 | 約1,000億EUR | 約16.5兆円 |
| 基準価格変動(2025年) | -3.5%(加重平均) | 再評価進行 |
| オフィス系SCPI変動 | -4.9% | 在宅勤務影響 |
| 配当維持/増加したSCPI比率 | 64% | 安定感示す |
主要SCPIカテゴリと特徴
| カテゴリ | 利回り目安 | 投資対象 | リスク |
|---|---|---|---|
| 欧州分散型 | 5.0〜5.5% | 仏・独・蘭等 | 中 |
| オフィス特化 | 4.2〜4.8% | パリ・リヨン他 | 高(構造転換) |
| ヘルスケア | 4.5〜5.0% | 病院・クリニック | 低 |
| レジデンシャル | 3.8〜4.5% | 住宅 | 低 |
| 商業施設 | 4.5〜5.2% | ブランドストア等 | 中 |
| 物流 | 5.0〜5.8% | 物流倉庫 | 中 |
郊外(グラン・パリ)価格成長率
| エリア | 2025年平米単価(EUR) | 過去12か月変動 | 2026〜2028見通し |
|---|---|---|---|
| サン=ドニ(93) | 4,800 | +5.2% | +5〜+7%/年 |
| サン=トゥアン(93) | 6,500 | +4.1% | +4〜+6%/年 |
| モントルイユ(93) | 6,200 | +3.8% | +3〜+5%/年 |
| ブーローニュ(92) | 9,800 | +1.5% | +2〜+3%/年 |
| ヴァンセンヌ(94) | 10,500 | +1.8% | +2〜+3%/年 |
| イシー(92) | 8,800 | +2.2% | +2〜+3%/年 |
| ヌイイ(92) | 11,200 | +1.0% | +1〜+2%/年 |
パリ不動産を取り巻くマクロ要因
| 要因 | 影響方向 | 2026年状況 |
|---|---|---|
| ECB政策金利 | 金利↓で価格↑ | 下降トレンド継続 |
| 住宅ローン金利 | 低下で購買力↑ | 3.2〜4.0%台 |
| DPE規制強化 | 省エネ物件価値↑ | 2028年以降さらに強化 |
| 家賃規制 | 利回り天井 | 継続 |
| 短期賃貸規制 | エアビー収益↓ | 120日/年制限徹底 |
| グラン・パリ延伸 | 郊外価値↑ | 2024〜2030年段階開通 |
| 移民・国際人材流入 | 賃貸需要↑ | 続伸 |
出典
- Paris Property Price Forecasts 2026 – Investropa
- Property Price Forecasts France 2026 – Investropa
- Paris Real Estate Outlook 2026 – 56Paris
- Price Per m2 Paris 10-Year Trend – Homeselect
- France Real Estate Market Predictions 2026 – Club Property
- Savills | Vive les SCPIs – European expansion
- Best SCPIs 2026 Ranking – France SCPI
- France's 2025 Property Reset – Adrian Leeds
- France's Residential Property Market Analysis 2026 – Global Property Guide