アジア先進株式投資シリーズ 第8回
【2026年版】豪ASX200資源株|BHP・Rio Tinto・Fortescueで鉄鉱石×中国需要にエクスポージャー
豪資源3強(配当5.8〜8.4%)を鉄鉱石価格サイクル、BHPの銅・ポタッシュ多角化、Rio TintoのSimandou西アフリカ、Fortescueのグリーンアイアン転換で解説。フランキング制度でFully Franked配当は豪源泉税ゼロの実務、AUD為替特性、ADR vs ASX本土株比較まで網羅。
読み物パート|豪資源メジャーと中国鉄鉱石需要の蜜月
オーストラリアは世界最大の鉄鉱石輸出国(世界シェア約58%、2025年実績)であり、同国ASX200指数の時価総額の約18%を資源セクターが占める。中でもBHP Group(BHP)、Rio Tinto(RIO)、Fortescue(FMG)の「豪資源3強」は、いずれも西オーストラリア州ピルバラ地域の巨大鉄鉱山を運営し、中国・日本・韓国・インドの製鉄所に向けた鉄鉱石供給の中核を担っている。
BHP Groupの2025年度(豪会計年度、2024年7月〜2025年6月)売上高は約558億ドル、純利益約147億ドル、ROE 23.2%。事業セグメントは鉄鉱石(売上比約46%)、銅(24%)、石炭・鉄鋼原料(18%)、ポタッシュ・ニッケル等(12%)で構成され、2026年は(1) Olympic Dam銅拡張プロジェクト(南オーストラリア州、2027年完成予定)、(2) Jansen Potashカナダ鉱山(2026年生産開始)、(3) BHPとRio Tintoの合弁Pilbara Rail Network効率化、が焦点となる。
Rio Tintoの2025年度売上高は約548億ドル、純利益約118億ドル、ROE 20.8%。鉄鉱石事業が売上の約50%、アルミニウム21%、銅18%、その他ミネラル11%。2026年の注目点は、(1) Simandou West Africa鉄鉱石プロジェクト(ギニア、2026年下期初出荷開始予定)、(2) リチウム事業(Rincon Lithium、2027年生産化)、(3) アラスカのPebble銅プロジェクト、である。Simandouは「世界最大の未開発高品位鉄鉱石鉱床」と評され、年産能力6,000万トン規模で、ピルバラ鉱石(62%品位)より高品位(66%品位)の製品を供給する予定。
Fortescue Metals Groupの2025年度売上高は約186億ドル、純利益約52億ドル、ROE 28.4%。BHP・Rio Tintoと比較すると事業規模は小さいが、(1) 鉄鉱石ピュアプレイ(売上の95%超)、(2) 配当性向65〜75%の高還元方針、(3) グリーンスチール転換事業(Fortescue Energy、旧Fortescue Future Industries)への大型投資、という独自の戦略を持つ。2026年は中国Baowu Steel他との水素還元鉄鋼(グリーンアイアン)パイロットプロジェクトが注目される。
これら3社の配当利回りは、BHP 5.8%、Rio Tinto 6.2%、Fortescue 8.4%(中国向け鉄鉱石価格連動で変動)と、いずれも豪ドル建てで高水準。豪ドル(AUD)はコモディティ価格(特に鉄鉱石・LNG)と強く連動する「コモディティ通貨」の代表格で、日本居住者にとっては資源価格サイクルへのエクスポージャーと同時に、為替変動による円ベースリターンの振幅が大きい市場となる。本稿では3社の事業構造、バリュエーション、日本居住者視点での実務を整理する。
データパート|主要指標の実数値
豪資源3社の基本情報比較(2026年4月時点)
| 項目 | BHP Group | Rio Tinto | Fortescue |
|---|---|---|---|
| ティッカー(ASX) | BHP.AX | RIO.AX | FMG.AX |
| ティッカー(LSE) | BHP.L(英国上場廃止、2022年) | RIO.L | - |
| ティッカー(NYSE ADR) | BHP(NYSE) | RIO(NYSE) | FSUGY(OTC、非流動) |
| 時価総額 | 約1,430億豪ドル換算 約945億ドル | 約1,180億豪ドル換算 約780億ドル | 約640億豪ドル換算 約423億ドル |
| 2025年度売上高 | 約558億ドル | 約548億ドル | 約186億ドル |
| 2025年度ROE | 23.2% | 20.8% | 28.4% |
| 配当利回り | 5.82% | 6.24% | 8.38% |
| 配当性向 | 60〜70% | 60〜70% | 65〜75% |
| 予想PER(2026E) | 12.4倍 | 10.8倍 | 7.6倍 |
| 予想PBR(2026E) | 2.48倍 | 1.92倍 | 2.14倍 |
BHP Group|セグメント別 収益構成
| セグメント | 2025年度売上比率 | 2025年度EBITDA比率 | 主要顧客・拠点 |
|---|---|---|---|
| 鉄鉱石(Western Australia Iron Ore) | 46% | 52% | 中国、日本、韓国、インド/Pilbara |
| 銅(Copper) | 24% | 21% | 中国、欧州/Escondida(チリ)、Olympic Dam(豪) |
| 石炭・鉄鋼原料(Steelmaking Coal) | 18% | 16% | 日本、韓国、インド、中国/Queensland |
| ポタッシュ・その他 | 12% | 11% | 農業向け肥料/Jansen(カナダ)、WA Nickel |
鉄鉱石事業のEBITDA貢献が52%と最大だが、銅・ポタッシュ・ニッケル等への多角化が進んでおり、単一商品への依存度はRio Tinto・Fortescueより低い。Jansen Potash鉱山は2026年生産開始予定で、将来的に世界最大級の塩化カリウム供給源となる見込み。
Rio Tinto|製品別 収益構成
| 製品カテゴリ | 2025年度売上比率 | 2025年度EBITDA比率 | 主要拠点 |
|---|---|---|---|
| 鉄鉱石 | 50% | 58% | Pilbara(西豪)、Simandou(ギニア、2026年開始) |
| アルミニウム | 21% | 16% | Gove、Bell Bay(豪)、カナダQC州 |
| 銅 | 18% | 18% | Kennecott(米)、Escondida(チリ、BHP合弁) |
| その他(リチウム、ダイヤモンド、ホウ素等) | 11% | 8% | Rincon Lithium(アルゼンチン)、Diavik(カナダ) |
Rio Tintoの鉄鉱石依存度(売上50%、EBITDA 58%)はBHP(46%、52%)より高い。Simandou鉱山(ギニア、2026年下期初出荷)は、長年のインフラ整備問題を越え、2026年がRio Tinto鉄鉱石事業の「第二章」のスタート年となる。
Fortescue|鉄鉱石ピュアプレイ+グリーンアイアン転換
| 事業領域 | 2025年度売上比率 | 戦略的位置づけ | 2026年注目点 |
|---|---|---|---|
| 鉄鉱石(中国輸出) | 約95% | コア事業、中国依存度高 | Iron Bridge Magnetite(高品位化) |
| グリーンエネルギー(Fortescue Energy) | 約4% | 新規事業、2030年までに100億ドル投資計画 | Baowu Steelとのグリーンアイアン実証 |
| その他 | 約1% | - | - |
Fortescueの中国依存度は売上ベースで約83%と、豪資源3社の中で最も高い。2026年は中国建設需要の減速が最大リスクだが、グリーンアイアン転換事業がこれを補完する新規成長シナリオとなる。
鉄鉱石価格と3社の業績相関
| 年度 | 鉄鉱石価格(62% CFR中国、USD/t 平均) | BHP 純利益 | Rio Tinto 純利益 | Fortescue 純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年度 | 164 USD/t | 211億ドル | 210億ドル | 104億ドル |
| 2022年度 | 128 USD/t | 303億ドル | 125億ドル | 62億ドル |
| 2023年度 | 117 USD/t | 128億ドル | 103億ドル | 51億ドル |
| 2024年度 | 114 USD/t | 139億ドル | 98億ドル | 44億ドル |
| 2025年度 | 109 USD/t | 147億ドル | 118億ドル | 52億ドル |
| 2026年度予想 | 102〜108 USD/t | 約135億ドル | 約108億ドル | 約44億ドル |
鉄鉱石価格は2021年のピーク以降、緩やかに下降トレンド。2026年は中国鋼材需要の横ばい〜微減、ブラジルVale社の増産継続、Simandou供給開始などの要因で、100 USD/t近辺での推移が見込まれる。Fortescueは純粋な鉄鉱石プレイゆえ、価格変動への感応度が最も高い。
3社のバリュエーション比較
| 指標 | BHP | Rio Tinto | Fortescue | 参考: Vale(ブラジル) |
|---|---|---|---|---|
| 予想PER(2026E) | 12.4倍 | 10.8倍 | 7.6倍 | 6.8倍 |
| 予想PBR(2026E) | 2.48倍 | 1.92倍 | 2.14倍 | 1.32倍 |
| EV/EBITDA(2026E) | 5.8倍 | 5.2倍 | 4.2倍 | 3.6倍 |
| 配当利回り | 5.82% | 6.24% | 8.38% | 9.62% |
| 過去5年平均ROE | 28.4% | 22.6% | 36.2% | 24.8% |
| 過去5年平均配当性向 | 62% | 64% | 72% | 50% |
豪資源3社は、同業のブラジルVale(ADR: VALE)と比較すると若干割高(Vale PER 6.8倍、配当9.62%)。ただしValeは(1) ブラジル政治リスク、(2) 過去のBrumadinhoダム決壊事故(2019年)、(3) CVRD時代の複雑な組織統治、というディスカウント要因があるため、リスク調整後では豪3社の優位性は維持される。
ASX200上位の資源セクター銘柄(参考)
| 銘柄 | ティッカー | 事業 | 時価総額(USD) | 配当利回り |
|---|---|---|---|---|
| BHP Group | BHP.AX | 鉄鉱石+銅+石炭+ポタッシュ | 約945億ドル | 5.82% |
| Rio Tinto | RIO.AX | 鉄鉱石+アルミニウム+銅 | 約780億ドル | 6.24% |
| Fortescue | FMG.AX | 鉄鉱石ピュアプレイ | 約423億ドル | 8.38% |
| Woodside Energy | WDS.AX | LNG、豪州最大 | 約456億ドル | 6.92% |
| Santos | STO.AX | 石油・ガス | 約195億ドル | 5.64% |
| South32 | S32.AX | 多角的鉱業(BHPスピンアウト) | 約192億ドル | 4.28% |
| Newcrest → Newmont統合 | NEM.AX | 金鉱業 | 約588億ドル(グローバル) | 3.44% |
| Pilbara Minerals | PLS.AX | リチウム | 約78億ドル | 0.0%(無配) |
豪ASX200の資源セクターは、鉄鉱石(BHP・RIO・FMG)、LNG・石油(WDS・STO)、金(旧Newcrest、現Newmont統合)、銅・アルミニウム、リチウム(PLS)、ウラン(Paladin、Deep Yellow)と幅広い商品群をカバー。セクターETFとしてはRSP(米国資源ETF)、DJP(Invesco DB Commodity Index)、IOZ.AX(ASX200トラッカー)等が関連する。
日本居住者向けアクセス手段と費用
| 手段 | 対応銘柄 | 主要証券 | 為替 | 税制(配当) |
|---|---|---|---|---|
| ASX本土株 | BHP、RIO、FMG、WDS、STO等ASX200主要銘柄 | SBI、楽天、マネックス、IBKR | AUD | 豪30%(フランキング控除前)、日本20.315% |
| ADR(NYSE上場) | BHP、RIO | 全主要ネット証券 | USD | 米国10%→(実質) 豪州フランキング適用後、日本20.315% |
| EWA(豪州ETF) | ASX200上位60銘柄を時価総額加重 | 全主要ネット証券 | USD | 米国10% + 日本20.315% |
| IOZ.AX(ASX200トラッカー) | ASX200構成銘柄200社 | SBI、楽天、IBKR | AUD | 豪州+日本 |
| PICK(米国鉱業ETF) | グローバル鉱業株(BHP、RIO、Vale等) | 全主要ネット証券 | USD | 米国10% + 日本20.315% |
日本居住者視点の実務|税制・証券会社・AUD為替
豪株配当の「フランキング」税制
オーストラリア税制の特徴は、「フランキング・クレジット(Imputation Credit)」と呼ばれる独自の二重課税防止制度である。豪企業が法人税30%を支払った後の利益から配当が支払われる場合、その配当には「フランキング済み」のフラグが付与され、豪国内居住者は配当と同時に30%分の税額控除(Franking Credit)を受けられる仕組み。
ただし日本居住者(豪非居住者)の場合、豪源泉税として配当のFranked部分には源泉税ゼロ(租税条約)、Unfranked部分には15%源泉税が適用される。BHP・Rio Tintoの配当は通常100%フランキング済み(Fully Franked)のため、実際の豪源泉税はゼロ、日本側で20.315%のみ課税される構造となる。
FortescueもFully Franked配当を出すが、海外子会社からの配当(Unfranked部分)が含まれる年度もあり、この場合は部分的に豪源泉税15%が適用される。実務上は、年次配当通知書で"Franked"と"Unfranked"の内訳を確認する必要がある。
ASX本土株の源泉税実務
日本居住者がASX本土株(BHP.AX、RIO.AX、FMG.AX等)を保有する場合、配当源泉税の計算は以下のようになる。
- Fully Franked配当: 豪源泉税ゼロ + 日本側20.315% = 実質税負担20.315%
- Unfranked配当: 豪源泉税15% + 日本側20.315% = 名目合計35.315%(日本側で豪15%を外国税額控除で取り戻せる)
- キャピタルゲイン: 豪州非居住者は原則非課税(租税条約)、日本側で20.315%
BHP・Rio Tintoの配当は通常100%フランキング済みのため、実務上は源泉税ゼロ+日本20.315%の良好な税効率で投資可能。これは台湾(21%)、韓国(22%)と比較して明確に税効率が良い。
証券会社別の豪州株取扱
| 証券会社 | ASX銘柄取扱 | 手数料(約定代金の) | AUD両替スプレッド |
|---|---|---|---|
| SBI証券 | ASX主要約30銘柄(BHP、RIO、FMG、WDS、STO、Macquarie等) | 1.10%(最低500豪ドル未満5.5豪ドル) | 片道0.45円/AUD |
| 楽天証券 | ASX主要約25銘柄 | 1.10%(最低25豪ドル) | 片道0.45円/AUD |
| マネックス証券 | 限定的 | - | - |
| Interactive Brokers 証券 | ASX上場ほぼ全銘柄 | 0.08%(最低6豪ドル) | 片道0.05円/AUD |
SBI・楽天証券はASX200上位銘柄(BHP、RIO、FMG、WDS、CBA、BHP、Macquarie Group等)はカバーしており、豪資源3社への投資は十分可能。中小型ASX銘柄(Pilbara Minerals、Deep Yellow等のリチウム・ウラン小型株)へのアクセスが必要な場合はInteractive Brokers証券が必要となる。
BHP・RIOのNYSE ADR vs ASX本土株
BHP(NYSE: BHP、2022年の統合後はASX一元上場に切り替わったがADRは継続)とRio Tinto(NYSE: RIO)は、いずれもNYSE上場ADRを持つ。日本居住者がアクセスする上で、ADRとASX本土株のどちらが有利かは以下の比較による。
| 観点 | ADR(NYSE) | ASX本土株 |
|---|---|---|
| 取扱証券 | 全主要ネット証券 | SBI、楽天、マネックス、IBKR |
| 為替 | USD | AUD |
| 配当源泉税 | 米国10% → 豪フランキング適用後、日本20.315% | Franked配当は豪0%+日本20.315% |
| 流動性 | 高(日次出来高1〜5億ドル) | 高(豪で最大級) |
| 手数料 | 米国株基準(0〜0.495%) | 1.10% |
税制面では、ADR経由でも豪フランキング制度が間接的に適用されるため実質的な税負担は同等だが、手数料の観点ではADRが明らかに有利。長期保有+少額投資ならADRがコスト効率が良い。AUD為替エクスポージャーを直接取りたい場合はASX本土株が適している。
NISA成長投資枠での豪資源株運用
新NISAの成長投資枠で豪資源3社を保有する場合のポイント。
- BHP ADR(NYSE: BHP): NISAで保有可、配当5.82%を米国源泉税10%のみの負担で受け取れる
- RIO ADR(NYSE: RIO): NISAで保有可、配当6.24%
- BHP.AX、RIO.AX、FMG.AX(ASX本土株): NISAで保有可、Franked配当は豪源泉税ゼロで税効率最高
- EWA(豪州ETF): NISAで保有可、ASX200上位60銘柄分散、米国源泉税10%
- IOZ.AX(ASX200トラッカー): NISAで保有可、ASX200全200銘柄の最も広範な分散
年間240万円NISA成長投資枠をFMG.AX(配当8.38%)に配分した場合、Franked配当仮定で約20万円/年の税引後配当(AUD建て、為替変動前)となる。ただしFortescueの配当は鉄鉱石価格連動で変動が大きいため、BHP・RIOの方が安定的なインカム源として適している。
豪資源3社のポートフォリオ設計
パターンA|BHP中心型(分散・安定)
- BHP 50% + RIO 30% + FMG 20%
- 狙い: 商品多角化のBHPをコア、鉄鉱石特化のFMGで戦術的アクセント
パターンB|均等+ETF型
- BHP 25% + RIO 25% + FMG 15% + EWA/IOZ.AX 35%
- 狙い: 3社集中リスクをETFで分散補完
パターンC|高配当重視型(インカム最大化)
- FMG 40% + RIO 30% + BHP 30%
- 狙い: 加重配当利回り約6.8%、鉄鉱石価格サイクルに感応度高
まとめ|編集部の視点
2026年の豪資源3強(BHP、Rio Tinto、Fortescue)は、中国の鉄鉱石需要低迷期にあって、純利益は2021年ピーク時の半分程度に縮小しているものの、配当性向60〜75%という高還元方針を維持し、配当利回り6〜8%の水準を保っている。BHPは商品多角化(鉄鉱石46% + 銅24% + 石炭18% + ポタッシュ12%)による事業ポートフォリオの分散で最もディフェンシブ、Rio Tintoは2026年のSimandou(ギニア)鉄鉱石プロジェクト初出荷が新たな成長ドライバー、Fortescueは鉄鉱石ピュアプレイの高インカム性とグリーンアイアン転換の長期オプションが特徴、と3社それぞれが異なる投資テーマを提供する。
日本居住者にとっての最大の構造的メリットは、豪州の「フランキング制度」による配当源泉税の実質ゼロ化(Fully Franked配当の場合)である。BHP・Rio Tintoの配当は通常100%フランキング済みで、豪側源泉税ゼロ+日本側20.315%のみの税負担となり、台湾株(21%)・韓国株(22%)より明確に税効率が良い。新NISAの成長投資枠でFranked配当のASX株を保有すれば、実質的に非課税で高配当を受け取れる構造となる。
実務面では、SBI証券・楽天証券がASX200主要銘柄(BHP、RIO、FMG含む30銘柄程度)をカバーしており、直接投資は十分可能。一方、手数料率1.10%は米国株(0〜0.495%)より高く、少額投資ではADR(NYSE: BHP、RIO)経由の方がコスト効率が良い場合も多い。AUD為替エクスポージャーを直接取りたいかどうか、で選択が分かれる。
もう一点、2026年の見落とされがちな論点は「豪ドル(AUD)の中国需要連動性」である。AUD/JPYは鉄鉱石価格(特に中国の不動産投資・インフラ投資水準)と強く連動し、過去10年の相関係数は約0.68。豪資源3社への投資は、株価パフォーマンスのみならずAUD為替での円ベースリターン変動が大きいため、ポートフォリオ全体での通貨配分(USD・JPY・EUR・SGD・HKDとの分散)の一部として位置づけることが妥当となる。富裕層日本居住者にとって、豪資源3社は「高配当インカム+コモディティ・サイクルへのエクスポージャー+AUD通貨分散」の三位一体の投資機会として、ポートフォリオの5〜15%程度のサテライト配分が現実的な選択肢となる。
出典・参照
- BHP Group 2025年度Annual Report(7月期決算)
- Rio Tinto Ltd. 2025年度Annual Report(12月期決算)
- Fortescue Ltd. 2025年度Annual Report(6月期決算)
- Australian Securities Exchange(ASX): ASX200構成銘柄・時価総額データ
- Reserve Bank of Australia: AUD管理フロートおよび対主要通貨レート履歴
- Bloomberg Terminal: 豪資源3社 バリュエーション・配当推移
- World Steel Association: 2025年 中国鋼材需要・供給レポート
- Simandou Project Joint Venture(Rio Tinto・Chinalco・Winning Consortium)公式資料
- Reuters: Fortescue-Baowu Steel グリーンアイアン実証プロジェクト 報道
- SBI証券・楽天証券 豪州株取扱銘柄および手数料公式資料
- 国税庁: 日豪租税条約とフランキング・クレジットの取扱
- 金融庁: 新NISA制度における外国株式の取扱